環境DNA測定地点のイメージ

「知っていれば何かの役にたちそうな」技術的知見を順次upしていきます。ここでは各タイトルと要約を記載していますが詳細はリンクページをご参照下さい。
すべては文献等から得た情報や実験事実に基づいたものですが、条件が変われば違う結果がでるものも含まれている可能性もありますのでご承知おき下さい。

目次
 ・環境DNAについて
 ・環境DNA測定全般
 ・採水関係
 ・フィルタリング関係
 ・DNA抽出関係
 ・PCR関係

環境DNAについて

環境DNAのサイズについて
 文献と実際に行ったテストの結果を合わせて環境DNAのサイズに関する考察をしました。結論としてサイズは1~10umが主体であると思われます。

環境DNAは体のどの部分のDNA?
 環境DNA以外の文献から環境DNAは生き物のどの部分から出たDNAかを考察しました。結論として魚の腸管細胞から来ていると思われます。

環境DNAは何m下流まで検出できるか?
 種々の文献からの情報をまとめると数百mから数kmまで検出できるようです。

環境DNAはどのような状態で存在するの?
 文献やこれまでの実験から環境DNAは水中でどのような形で存在するか考察しました。結論はミトコンドリア状態(もしくは壊れた細胞内にミトコンドリアが含まれる状態)で流れているものと想像できます。

環境DNA測定全般

「環境DNA(生態系の真の姿を読み解く)」 共立出版
 環境DNA学会が企画した環境DNAに関する基礎的なことを説明した本です。これから環境DNAについて学ぶ方、全体を掴みたい方んはお勧めです。

はじめての環境DNA
 外部リンクですが、このビリュー企画のサイトと同様に環境DNAを広げようと(おそらく)ボランティアで情報を公開しているサイトです。メタバーコーディングも掘り下げて公開されており参考になると思います。

水質による環境DNA測定結果の変動について(1)
 学会のマニュアルに従って抽出・PCR増幅を行ったとしても環境水の水質により測定結果が変動します。場合によっては一桁以上変わる可能性があることを実験データで示します。

水質による環境DNA測定結果の変動について(2)
 学会のマニュアルに従って抽出・PCR増幅を行ったとしても環境水の水質により測定結果が変動することは上記(1)にて示しましたが、今回はその変動する原因がどこにあるのかを切り分ける実験を行いました。結果としてPCRの阻害ではなく、抽出(もしくは濾過)で阻害が発生していることが分かりました。

内部標準による抽出阻害の補正について(New)
 環境水に含まれる夾雑物によってPCR阻害のみならず抽出阻害も発生することを上に示しました。PCR阻害はPCR前に標準物質を入れること、もしくは抽出液を薄めることで阻害の有無とその程度を推測できます。しかし抽出阻害についてはあまり議論されていないように思います。そこで抽出阻害が発生しても、阻害の無いデータに換算する方法を実験データと共に提案します。

採水関係

環境DNA量減衰率の温度依存性
 採水したサンプル水を移動等で放置した場合、サンプル水中の環境DNAの減衰率が温度に大きく依存することを実験で示した論文を紹介します。結論として半減時間は30℃で数時間、10℃で1日だったそうです。

オスバンの効果について
 環境DNA調査時に、採水した水を持ち帰って測定する場合に添加する塩化ベンザルコニウム溶液(オスバン)の効果について特許をベースに説明します。

ハイター(次亜塩素酸Na)での洗浄について(その0)(New)
 次亜塩素酸ナトリウム使用時の基本的な情報やハイター洗浄時の容器の白化及びその対処方法などを記載しています。

ハイター(次亜塩素酸Na)での洗浄について(その1)
 学会マニュアルではコンタミやキャリーオーバーを無くすためにハイターで洗浄するようにと書いています。しかし一方でハイター洗浄後の洗い流しをきっちりしないと感度が悪くなります。このことについて啓蒙しています。

フィルタリング関係

フィルタリング量の目安
 ステリベクスを使う場合のフィルタリング量の目安を紹介しています。またメタバーコーディング時のフィルタリング量(正確には濃縮率)と検出種数の関係を過去の発表資料から紹介します。

フィルタリング量とメタバーコディング時の検出種数の関係(New)
 メタバーコーディング時に検出漏れの無いように、より多くの検出種を得ようとするとろ過量を増やすと言うのが一般的な考え方だと言われていますが、実は濃縮倍率が重要であると言う事をデータで示しています。

フィルタの冷凍の影響
 ステリベクスをフィルタリング後に冷凍することでDNAが減る(壊れる)かどうかを、PCR増幅後のCt値を比較しながら検討した結果です。

ステリベクスの構造
 ステリベクスは簡単な構造をしているように見えますが、実は気が付きにくい部分で工夫がしてあります。この工夫が故に簡単に使えるようになっていますので、知っていると使い方の意識が変わるかもしれません。

DNA抽出関係

キアゲン抽出の基礎
 学会マニュアルでキアゲン社抽出キットをもちいた環境DNA抽出を推奨していますが、このキットの手順についての技術的な背景を簡単に紹介しています。

キアゲン抽出法の収率変動対策(ATL法)(New)
 学会のマニュアルにキアゲン抽出法は夾雑物により収率の変動が激しいため、対策として手順を改良した方法を紹介します。これからの抽出にはこちらの方法がBetterと思います。

キアゲン抽出時のBuffer-AEの量とDNA濃度
 Buffer-AEの量と抽出液中のDNA濃度関係を調べました。結果はある範囲でAEの量を減らすとDNA濃度が上がるという結果でした。うまく活用すると高濃度の抽出液を得られるかもしれません。

キアゲン法と簡易(HS)法の効率比較(1)
 コイのいる池の水をもちいてキアゲン法と簡易法で効率を比較しました。この実験の結果は簡易法の方が効率が良いと言うデータでした。

キアゲン法と簡易(HS)法の効率比較(2)
 環境水に検出限界付近の内標をスパイクし、キアゲン法と簡易法でどちらがどれだけ検出できるかを比較しました。結果は簡易法は学会法に比べて効率は劣らないとの結果でした。

BC法と学会法の抽出効率の差(検出限界の比較)
 超簡易なろ過&抽出法であるビリューチップ(BC)法と学会のマニュアルにある方法(ステリベクスろ過+キアゲン抽出法)で検出限界を見ることで抽出効率の差を確認しました。結果として、BC法は同等以上の結果が得られました。

ビリューチップ法(BC法)と学会法の総合比較(New)
 BC法と学会法を、手順・作業時間・効率・コンタミリスク等トータルで比較した結果を紹介しています。これは2023年の環境DNA学会のポスター発表をベースにしたものです。

PCR関係

モバイルPCR装置とディスクトップ型PCR装置の感度比較
 このサイトで良く紹介している二つのPCR装置の感度の比較を行ってみました。検出限界付近で環境DNAの濃度を振りながら各濃度24回の測定で検出の有無を比較したところ、ほとんど差がないと言う結果でした。

増幅阻害時の増幅曲線
 環境水中の夾雑物によりPCRの増幅阻害があった場合にどのような増幅曲線になるか、またCt値はどうなるかを試す実験を行いました。今回はPCR阻害がある場合はこれまでも言われているように増幅曲線が緩やかになっていました。一方でDNA濃度が低い場合でもCt値には影響していないとの結果でした。

各社ポータブルPCR装置の比較(New)
 ポータブルな市販PCRの中でPiciGene、CronoSTAR、GF-Q150をカタログベースでまず比較しました。それぞれ長所と短所があり、使う目的によって選択肢が異なるようです。その後実際に使用してみて使用感等を追記しました。