レジオネラの正式な検査方法(公定法)は昔ながらの培養法がもちいられ培養時間は7日となっているので、検査を始めてから結果が出るまでに一週間以上かかり、その間やきもきすることになります。

そこで最近PCR法を使用した検査方法が提案され、(条件がそろえば)1日で結果が出るようになりました。
この方法は死んだ菌も検出されるので正式な検査法ではありませんが、過去を含めて菌が生息していたかどうかがすぐ分かります。そのためPCR法をもちいた検査方法もあちこちで行われています。

だだし、早くなったとは言え水を1L程度ろ過して、実験室に送って濃縮・抽出るすので結果が出るのは通常翌日になります。

レジオネラ用モバイル検出キット

そこでこのサイトで紹介しているビリューチップ(BC)法をもちいたモバイルのレジオネラ検出キットを作り(上写真)、実際にある浴場のお湯のレジオネラ検出を試みましたので紹介します。

まずこれまでのPCR法で行われていた前処理と、ビリュー法での前処理をマンガで示します。

レジオネラ検出時の前処理の比較

ここで、(PCR法での)従来の方法にある遠心処理は高速遠心が必要ですしヒーターも必要になるためちゃんとした実験室にサンプルを持ち込む必要があります。一方今回のモバイル検査キットは電池で駆動するのでどこででも検査が可能です。

実験はまず浴場水サンプルを遠沈管に50mL採水し、ビリュー法で全量ろ過後抽出を行いました。一方別途用意した遠沈管にいれた純水を同じ条件でろ過抽出を行いました。このろ過&抽出時間は3分程度でした。

続いて、モバイルPCR装置(PicoGene)でPCR増幅することになりますが、検出試薬は日本板硝子(株)の試薬(RGT001A)を使用しました。

PCRの所要時間は操作含めて20分弱、つまり浴場水の検査はトータル25分程度でした。
結果として、浴場水と純水のPCR増幅曲線は下のようになり浴場水からレジオネラのDNAが検出されてしまいました。

レジオネラ検出の結果

この結果からこの浴場に今生菌がいるとは言えませんが、少なくとも以前に菌がいたことが分かります。

このようなPCR検査の使用方法として以下が考えられます。

・定期的な検査によるレジオネラ菌増殖の傾向把握
・改善措置後の陰性確認検査による営業再開の目安把握
・浴槽等設備の洗浄効果の判定
・患者発生時の迅速感染源調査(原因究明)

このように将来レジオネラのPCR検査が簡単の行われるようになりレジオネラ感染が少しでも減るとことで、世の中のお役に立ててれば嬉しいです。