大作戦1に続いて第2弾を実施しました。今回はビリューチップ(BC)法を使用した環境DNA測定キットをもちいて、移動しながらの複数地点の測定が一人でどれだけ短時間にできるか確認することも目的の一つとしました。(パートナーの”ビー”さんは写真係として同行)

 場所は下の図で示す通り神奈川県相模原市のJR相模原駅の近くを流れる境川です。今回も橋の上(図中番号を振った位置)から採水し、停車中の車内でろ過・抽出を行いPCR装置(PicoGene PCR1100)をスタート。その後キットを片付けて次の測定点に向かい、また採水から始めて抽出中にPCRの結果が出ればよいと考えました。目標は一人で20分(PCR増幅時間)サイクルで測定する事です。

採水地点 各地点の橋の上から採水
BC法を採用した環境DNA測定キット

 今回はある事情から橋④あたりでコイの生息場所を見つけたいという思いもあったので、測定の順は①→③→④→「③の結果次第で②か⑨と」考えていました。
 結果的には③で被検出だったので④のPCR開始後結果が出る前に⑨への移動と決め、最終的には①→③→④→⑨→⑦→⑤→⑥と測定しました。測定結果(Ct値)は下図の通りです。ここで③④は被検出で②⑧は測定しませんでした。なお今回雨上がりで且つ橋④の上流で護岸工事を行っていたようで水はかなり濁っていました。

 測定結果は前回のような綺麗な結果にはなっておらず、護岸工事の影響で測定結果がばらついたのかもしれません。しかしこの結果がバラツキなく測定できていると仮定すれば(必ずバラツキはあるのですが。)、橋④~⑦の全域にコイが生息している事になります。そこで川べりを探してみると橋⑤の直下でコイの生息を確認することができました。

 では今回の目的である、「どれだけ短時間(簡単)に測定できるか」に関してですが、PicoGeneの測定記録を元に測定サイクルの平均値を見ると28分でした。目標(20分)に達しなかった原因は駐車スペースを探すのに時間が掛かったのと狭い道の移動ですれ違いに時間を要したことなどがあげられます(暑かったので途中アイス休憩もしてしまいました(笑))。これらの事情が無い場所では22分のサイクルで測定できた場所もありますので、このキットを使うと20分程度のサイクルで測定可能と言う結論になりました。このサイクルタイムで環境DNA測定ができると言う事は一日で20か所以上の環境DNA測定が一人で可能と言う計算になります。下の表は一部測定のタイムチャートになります。

採水時の動画です。高所からでも簡単に採水できるできることが分かります。

測定時の風景です。

 BC法に関しましては次の論文もご参照下さい。
 「Filtration extraction method using a microfluidic channel for measuring environmental DNA