キアゲン抽出キット内の試薬

抽出手順

 キアゲンの抽出法の詳細は作業手順で書いていますが、大まかには以下のようになっています。
 

  1. Pro-K;20uL、Buffer-AL;200uL、PBS;220uLの割合で処理数分混ぜたプレミックスを作製。
  2. 上記プレミックスをステリベクスに充填
  3. 56℃-30分処理 
  4. ステリベクスの入口側から液を1.5mLチューブに取り出す
  5. このチューブにエタノール200uLを入れて撹拌
  6. スピンカラムに上記液を入れて遠心
  7. コレクションチューブの水を捨てた後、Buffer-AW1を500uL入れて遠心
  8. コレクションチューブの水を捨てた後、Buffer-AW2を500uL入れて遠心
  9. コレクションチューブを新しい1.5mLチューブに換えてカラム上部にBuffer-AEを200uL入れる
  10. 遠心後、1.5mLチューブに残ったものがsample

手順の元となる考え方

 このキアゲンの手順の基礎となっている考え方を理解すると手順も覚えやすいと思います。私の想像も一部入っていますが参考までに記載しておきます。

  • ProK;タンパク質の分解と、核酸を分解するヌクレアーゼを不活化する酵素 
     (56℃付近で活性が高まり、高温になると失活する)
  • Buffer-AL;ガラスフィルタにDNAが吸着する条件を作る液(カオトロピック物質)
      ですので工程3があります。
      キアゲン社のMSDSを見るとその(主な?)成分は
        guanidine hydrochloride(カオトロピック剤)
        Tween 20(界面活性剤)
        maleic acid(?)
      となっています。従って若干の細胞を分解する能力もあるのかもしれません。
  • スピンカラムについている白いものはガラス(多分石英)のフィルタで、カオトロピック物質があるとDNAを吸着します。
    工程6でこの吸着を行っています。
  • Buffer-AW1;洗浄液でフィルタに先のガラスフィルタに付着している不要なたんぱく質や油を洗い流す。工程7でこの洗浄を行っています。
  • Buffer-AW2;ガラスフィルタを乾燥させる液でアルコールが入っているようです。工程8にて高回転で遠心するのは乾燥を十分に行うためです。ですので遠心後スピンカラムを抜く時に、下にたまったAW-2液にフィルター部が接触しないようにしなければなりません。
  • Buffer-AEは石英フィルタに付いているDNAをはぎ落す液。工程10、11で洗浄されたDNAが下のチューブに移り精製されたDNAが得られます。キアゲンのハンドブックによると組成は「10 mM Tris·Cl, 0.5 mM EDTA, pH 9.0」とのことです。pH>7の純水でも代用できるようです。

詳しく知りたい方は「ブーム法」で調べて頂くといいかと思います。