環境DNAの研究・調査をはじめると「環境DNAってどのくらいのサイズなんだろう?」という疑問がすぐに湧いてくると思います。この関係の文献は複数出ていますが、どれも100um以下、例えば以下の文献によると1~10umのものが主体だそうです。

参考文献
Turner CR, et.al.” Particle size distribution and optimal capture of aqueous macrobial eDNA” Methods in Ecology
and Evolution 5: 676-684, 2014

 このサイズが故、フィルタリング時に使用する孔径はステリベクスで0.45um、グラスフィルタで0.7umのものを使っていると認識しています。

 文献を紹介するだけではつまらないので、これまで行った実験データをひっくり返して、参考になりそうなデータを紹介します。

 これはアユの水槽水(友釣り用のアユの生簀)をもちい、事前フィルタリング有無で環境DNA測定したものです。事前フィルタリングの孔径は6umでした。

結果
・フィルタリングしないもののCt値は33.2
・フィルタリングしたもののCt値は34.5
でした。Ct値の差は約1なので、ざっくり言うとこの時の環境DNAのサイズは6um以下と以上で半々だったと言うことになります。

事前フィルタリング有無での環境DNA測定結果

ここでもう少し考察すると、
 1~10umが主体と言事は、環境DNAのほとんどが細胞の状態ではなく、細胞がつぶれた状態で浮遊していると想像できると思います。

 ちなみに別の実験ですが、0.45umのステリベクスを通ったサンプル水を0.22umのステリベクスで環境DNA測定を行った結果、0.45umに比べて1/10程度のDNAしか検出できませんでした。このため測定効率を上げるために0.22umのステリベクスを使用してもあまり効果はありません。
 逆に0.22umを使用するとすぐにフィルタが目詰まりするので効率が悪くなる場合が多いと思われます。