キアゲン抽出法と簡易抽出法の効率比較(1)

 このサイトで紹介しているキアゲン社キットによる抽出簡易(HS)法による抽出の手順は次のようなイメージです。

環境DNA測定におけるキアゲン法と簡易法の手順イラスト
キアゲン法と簡易(HS)法の手順比較

 ここで簡易法は簡単である事が分かると思いますが、抽出効率はどうかを知りたいところかと思います。
 この効率についてはいろいろな条件ごとに変わる可能性があるとは思いますが、試しにコイのいる池の水を使用してその差を測定してみました。

条件は
 ・ステリベクスによる濾過(100mL)
 ・キアゲン法または簡易(HS)法による抽出
  それぞれn=2
 ・KAPA 3G Plantを使用した試薬を使用
 ・PCR1100によるコイの増幅

結果は次のようになりました。
  キアゲン法  : Ct=38.0 及び 38.6
  簡易法    : Ct=36.4 及び 36.2
下図にその時の増幅曲線を示します。

環境DNA抽出におけるキアゲン法と簡易法の比較

 

 これまで濃縮率の関係から簡易法よりもキアゲン法の抽出効率の方が若干よいと聞いていましたが、実際に実験してみると簡易法の方が良いという結果になりました。
 これはあくまで一つの条件での結果なので、どちらの効率が良いかの判断はもっと条件を変えて実験をしてみる必要があります。と言いますのはこれまでの実験でどうもキアゲン法は環境水の水質に結果が大きく影響を受けるとの感触を持っており、現在詳しく調査中です。

 ただ少なくとも「簡易(HS)法は簡単だけど効率は劣るとは言えない」との結果です。