環境DNA測定において採水後のサンプル水を常温に置いておくとDNAが減少していくと言うことは皆さん定性的にご存じだと思います。それ故サンプル水を冷蔵したり、オスバンを入れたりして水を輸送するようにしているはずです。

 では各温度でサンプル水を放置すると、どのくらいのスピードでDNAが減少していくか興味をもつ方が多いと思います。これに関して辻さん達の次の論文があります。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0176608

この中で環境中のアユとコイの環境DNAの量変化について、下図のような実験結果が示されています。縦軸が環境DNAの量で横軸が水の放置時間です。

eDNA分解の温度依存性のグラフ(出展は上記サイト文献より)
〇10℃,×20℃,▲30℃

 この結果からざっと言うと
・環境DNA減衰率は温度に大きく依存し
・30℃では数時間で半減する
 (これはオスバンの特許データとも近い数値)
・一方10℃では一日で半減

 その他のデータとして細菌の量と減衰率に関する実験も行っているようですが、その結果をどう解釈すればいいのかよく理解できませんでしたのでご興味のある方は原文をお読みください。