1.はじめに

PCR用試薬の調合は慣れないと難しいので、ターゲット別に専用試薬を売っている会社(ゴーフォトン社等)もありますので、高いですが最初はそちらを使うと早いと思います。だた、そんなお金は無いという方はちょっと我慢して読んでみてください。

2.準備するもの

準備するものは以下の試薬類と機器です
試薬
・KAPA 3G Plant(日本ジェネティクスが代理店です)
・プライマーF, プライマーR
・プローブ
・滅菌水(RNase free water等)
KAPAには写真のように左から酵素、バッファー、Mg液の3種の試薬が入っています。

環境DNA測定時のPCR試薬KAPA
KAPA 3G Plantの試薬Kit

機器
・ピペッター(何回分混ぜるかによりますが、1000、100、10があればほとんど対応できます)
・ピペッター用チップ
・試薬を調合するスクリュー蓋の付いたチューブ
・1.5/2mL⽤チューブラック
・保温用発泡スチロール箱
・保冷剤

 ここでプライマープローブは例えばアユをターゲットとする場合は以下の配列となります。これをそのままメーカーに依頼すると作ってくれると思います。
Primer F 5′-CCTAGTCTCCCTGGCTTTATTCTCT-3′
Primer R 5′-GTAGAATGGCGTAGGCGAAAA-3′
probe   5’FAM-ACTTCACGGCAGCCAACCCCC-BHQ1-3′
 これらはメーカーに作ってもらったそのままでは濃度が濃いので、最初に20uM(mol/L)程度に薄めておくと使いやすいです。
ここでプローブは光を当てると劣化しますので、なるべく光を当てないように管理する必要があります。

3.手順

 例えばターゲットをアユとし、モバイルPCR装置(PCR1100)で使用するときの調合例を記載します。調合量はサンプル1.6uL、を混ぜた後で16uLとします。
・酵素       0.1U/uL になるよう調合
・プライマー F  900nM  になるよう調合
・プライマー R  900nM  になるよう調合
・プローブ     250nM  になるよう調合
・Buffer       ×1  になるよう調合 =8uL
       (2倍の濃度で納品されるので半分に薄め使えということです)
・MgCl       2mM  になるよう調合
・水        上記含めた合計が14.4uLになるよう混ぜる
ここでモバイルPCR装置(PCR1100)で使用する場合、プローブは蛍光色素としてFAMを使用したものを使ってください。もしそれ以外の色素を使用する場合はこれに別途FAMかFITCを単体の蛍光色素として添加する必要があります。
StepOne等ROX ref.の必要な装置の場合、ROXを添加する必要があります。
水はNuclease-Free Waterをお使いください。

実際の各調合量はプライマープローブの初期濃度によって変わりますので、ここでは書けません。頑張って算数の問題を解いてみてください。私はエクセルのシート(添付のファイル)を作って計算しています。

このシートでは必要に応じて追加蛍光色素を入れた計算ができるようになっています。

4.参考情報

 私は酵素以外のものをプレミックスとして大量に混ぜた後、小分け(10測定分程度)にして冷凍保存しています。これを使用する前に解凍し酵素を混ぜて使っています。
 プレミックスの調合の順は特に決めていませんが、水を最後にしてその時使ったピペッターで撹拌したのち軽くボルテックスを掛けています。酵素混合後は強いボルテックス攪拌は避け、1秒程度のボルテックスで済ませます(酵素が失活するのを防ぐためです)。動画を後日アップする予定です。