1.はじめに

 この試薬はディスクトップ型PCR装置ではかなり実績があるようですが、簡易装置としてのモバイルPCR装置では低濃度測定時に使用できない可能性があると感じています。現在鼻薬を添加することでこの問題を解消できそうですが、紹介できる状況ではござません。ここではディスクトップ型PCR装置用として記載します。
 PCR用試薬の調合は慣れないと難しいので、ちょっと我慢して読んでみてください。

2.準備するもの

準備するものは以下の試薬類と機器です
試薬
・Probe qPCR Mix(タカラバイオ社)
・プライマーF, プライマーR
・プローブ
・滅菌水(RNase free water等)

機器
・ピペッター(何回分混ぜるかによりますが、1000、100、10があればほとんど対応できます)
・ピペッター用チップ
・試薬を調合するスクリュー蓋の付いたチューブ
・1.5/2mL⽤チューブラック
・保温用発泡スチロール箱
・保冷剤

 ここでプライマープローブは例えばアユをターゲットとする場合は以下の配列のものです。これをそのままメーカーに依頼すると作ってくれると思います。
Primer F 5′-CCTAGTCTCCCTGGCTTTATTCTCT-3′
Primer R 5′-GTAGAATGGCGTAGGCGAAAA-3′
probe   5’FAM-ACTTCACGGCAGCCAACCCCC-BHQ1-3′
これらは納品時濃度が濃い状態になっていますので、最初に20uM(mol/L)程度に薄めておくと使いやすいです。
ここでプローブは光を当てると劣化しますので、なるべく光を当てないように管理する必要があります。

3.手順

 例えばKAPAの時と同様にターゲットをアユとし、携帯型(モバイル)PCR装置(PCR1100)で使用するときの調合例を記載します。調合量はサンプル1.6uL、を混ぜた後で16uLとします。
・Probe qPCR     ×1  になるよう調合 =8uL
(2倍の濃度で納品されるので半分に薄め使えということです)    
・プライマー F  900nM  になるよう調合
・プライマー R  900nM  になるよう調合
・プローブ     250nM  になるよう調合
・水        上記含めた合計が14.4uLになるよう混ぜる
ここでモバイルPCR装置(PCR1100)で使用する場合、プローブは蛍光色素としてFAMを使用したものを使ってください。もしそれ以外の色素を使用する場合はこれに別途FAMかFITCを単体の蛍光色素として添加する必要があります。
StepOne等ROX ref.の必要な装置の場合、ROXを添加する必要があります。
水はNuclease-Free Waterをお使いください。

実際の各調合量はプライマープローブの初期濃度によって変わりますので、ここでは書けません。頑張って算数の問題を解いてみてください。私はエクセルのシート(添付のファイル)を作って計算しています。

このシートでは必要に応じて追加蛍光色素を入れた計算ができるようになっています。

4.参考情報

 調合の順番は特にありませんが、できれば高価な酵素を最後にした方が調合ミスでの損失は少ないと思います。調合後は強いボルテックス攪拌は避け、ピペッターでの混合もしくは1秒程度のボルテックスで済ませます(酵素が失活するのを防ぐためです)。