ミトコンドリアイラスト

 水中の環境DNAのサイズは1~10umのものが主体であり、6um以下が半分との結果が出ています(別の投稿参照)。

 ではここで「どのような状態で存在するの?」という疑問が湧いてくると思います。

 この回答は以下事実から(乱暴な言い方をすると水中の環境DNAの多くはミトコンドリアもしくはそれを含んだ細胞辺の状態で流れていると考えています。

 知っている範囲の事実

  • 環境DNAの測定は0.45~0.7umの穴径を持つフィルタで捕集して検出する。
  • 環境DNAでは多くの場合ミトコンドリアに含まれるDNAを検出している。
  • そのミトコンドリアのサイズは短径0.5um程度・長径0.5~10um程度の楕円形。
  • 環境DNAのサイズは1~10umのものが主体であり、6um以下が半分との結果がある。
  • 0.45um以下のサイズのものはごく僅か。(0.45umのステリベクスフィルタを通過した濾過水を更に0.22umのフィルタ濾過し環境DNA測定を行った結果、0.45umに比べて1/10程度のDNAしか検出できませんでした)

 なお、ミトコンドリアが分解してさらにDNAの状態で流れているものもあるかもしれませんが、これはこのままでは小さすぎてフィルタに引っかかりません。

ただ上で「乱暴な言い方をすると」とお断りしたように、状況によって異なる可能性はあります。例えばミトコンドリアから離れてDNAの状態になっても、その後環境中の0.45um以上のパーティクルに吸着していて測定に引っかかるものもあると考えられます。

例えばMatthew A.(2020)らの論文では濁度が大きくなるにつれ、特定の孔径のフィルタに引っかかる環境DNA量が増えると報告しています。これは環境DNAが環境中の夾雑物(この場合パーティクル)に吸着して大きな孔径のフィルタに引っかかりやすくなったと言う事を意味しています。

このように環境DNA測定では様々なサンプルを対象としますので、なかなか言い切る事はできませんが、上記のような事をイメージしながら測定をしていけば、何か想定外の結果が出た場合に次の仮説が立てられるのではないかと考えています。