簡易(HS)法での環境DNA測定時、A液を入れたステリベクスから試料を取り出す場合、手順のビデオでは注入口側から取り出しています。これは注入口側からの方が取り出しやすいからです。しかし採水した水が濁っていた場合フィルタにゴミが多く付着し、これがすべて1.5mLチューブに取り出されることになります。するとその後B液を混ぜ攪拌するので濁った液をPCR試薬と混ぜてPCR反応をさせることになり、増幅阻害が発生する可能性が高まります。これを回避する方法として
1.B液を混ぜる前に遠心し、上澄み100mLにB液を14uL混ぜる。
2.ステリベクスの排出口から試料を取り出す。
の二つの方法で回避することができます。
今回2の方法を行った場合、Ct値に影響しないかどうか確かめる実験を行いました。
方法はアユがいる川の水400mLをステリベクスで濾過しHS法でDNAを抽出。この時A液注入後のステリベクスからサンプルを取り出す方向を注入口側のものと排出口側のものをそれぞれn=3で作り比較しました。
結果は平均値で
注入口側からの場合Ct=40.8
排出口側からの場合Ct=40.7
と同じと言える値でした。
この結果からHS法ではステリベクス内でDNAはフィルタを通過できるサイズになっており、ほぼ抽出されていると考えられます。