モバイル環境DNA測定キット(図-1)を試作しました。これは開発中のビリューチップ(BC)法を採用したもので、別投稿で紹介していますがこのアタッシュケース一つで採水~抽出までが10分以内で完了します。これを使って魚の生息地をその場で見つけ出すことができるかを試してみました。
方法は簡単で、比較的各地に生息すると言われる(恋ではなく)コイを対象に、東京都と神奈川県を流れる境川(図ー2)で 下流のBridge1から上流に向かって環境DNA測定を行い、Ct値が減少(eDNA濃度が増加)傾向から増加 (eDNA濃度が減少) に転じた地点で測定を終了。直前の測定ポイントとの間でコイを捜査というものです。
この時の測定結果を図ー3に示します。この図からBridge1からBridge5までは上流に向かうほどCt値が下がっており、より上流に環境DNAの発生源(つまりコイの生息地)がある事が分かります。そしてBridge6でCt値が大きくなっていますので、少なくともBridge5と6の間にコイが生息しているはずです。
そこで Bridge5と6 の間を川べりを歩いてじっくり探すと図ー4のようなコイの生息する場所を探し出すことができました。
このようにOn-Siteですぐに環境DNA測定の結果が出ると、希少種などの生息地を現場に行ったその日のうちに絞り込み探し出すことが可能になるかもしれません。
なお、この実験は次の論文作成時に行ったものです。
「Filtration extraction method using microfluidic channel for measuring environmental DNA」