ビリュー式モバイル環境DNA検出キット

 トップの「環境DNA検出法の全貌」に濾過および抽出の方法の一つとしてビリュー法を少し触れていますが、このビリュー法を使ったモバイル環境DNA検出用キット(アタッシュケース入り=上写真)を作りました。アタッシュケースのサイズは460*340*150で、5か所程度の採水からPCRまでの機材・部材一式が入っています。もちろん消耗品のチップや遠沈管を別途持っていけば何か所でも増やせます。
 そこでこの作業性の確認を兼ねて奥日光でニジマスを対象に環境DNA検出を行ってみました。

 ちなみに今回のビリュー法の条件では濾過量を10mLにしましたが、これはステリベクスを使った学会法(キアゲン社のDneasy Blood and Tissue kitでの抽出)で言うと200mLから400mLの濾過量に相当する濃度の抽出液が得られます。(詳しくは追って別の投稿で説明します)

 採水場所は地図に示す通り奥日光の湯の湖の出口で湯滝の直上です。

On-Site環境DNA検出地点

また作業の様子を下写真に示します。

On-Siteでの環境DNA検出作業風景

 設計では現地に着いてから採水ー濾過ー抽出を10分、PCRを20分の合計30分で終わるはずで、PCR装置を走らせるとアタッシュケースを閉めて持ち運べるため、現地にいる時間は約15分程度という見積もりです。

 結果としてアタッシュケースを置いてからPCR装置をスタートさせるまででちょうど10分、PCRは日本板硝子のPicoGene PCR1100を使いましたので20分以内に増幅は完了し、トータルで30分以内に収まりました。また現地にいた時間は12分程度で、やろうと思えば次の地点に移動してまた採水から始めることができました。(実際には一番上の写真の場所に移動してお弁当を食べながらPCRが終わるのを待ちました)

 採水からPCR開始までの作業状況をビデオに収めましたが、まだ慣れていないのとビデオ撮影に緊張したため時間は長めに掛かっています。それでも10分でしたので、慣れればもう少し短くなると思います。その時の作業をPCR開始までですがノーカットで紹介します。

 ところでPCRの結果は次の通りできっちりニジマスの検出ができ、その後念のため純水(ネガコン)で同じ作業をし増幅しないことを確認しています。

ニジマスを対象としたPCR増幅結果