相模川のアユ釣り場でアユの環境DNAを定点観測をしていました。ある時そのサンプルを使ってニジマスも測定してみようと思い測定してみたところ面白い結果がでましたので紹介します。(ただし元々ニジマス測定を対象としていなかったのでデータの信頼性がやや落ちます)
サンプリング:毎週水曜日。ただし雨の日は前後にずらしています。
測定条件:
・500mLカップによる採水
・ステリベクスによる濾過(100mL)
・新開発の抽出方法(注)
・PCR増幅試薬はKAPA 3G Plant
・ディスクトップ型PCR装置(StepOne)による増幅
抽出方法以外の詳細は環境DNA検出法の全貌に記載した方法に沿っています。
注)抽出方法は最近開発した方法で、別の記事で抽出効率を比較したのと同じ方法で評価した結果、学会法や簡易法よりも効率が良く安定していると考えられる方法です。
採水時に気温・水温なども記録していますが、今回水位のデータとニジマスのCt値に面白い関係がみられました。これを次のグラフに示します。このグラフはCt値を反転しているため上になるとニジマスの環境DNAが多かったことになります。このようにグラフ化するとどうも水位とCt値の反転値は似た動きをしているように見えます。
通常一定の環境DNAが存在する場合、「水位が上がる=水の量が多く」なっておりDNAの濃度が下がるはずです。しかし今回のデータでは水位が上がるとニジマスの環境DNA濃度が上がっているように見えます。
ここからはこのデータが正しいとしての勝手な推察ですが、①かなり上流にニジマスの生息地があり「水位が上がる=流速が早くなる」ことから水位が上がると共にDNAが減衰せずに観測ポイントまで流れ着いたと考えられます。②もしくは水底に溜まっていた環境DNAが流速が上がる事によってかき上げられたのかもしれません。
ちなみにこの測定ポイントの少し上流に津久井湖と言うダム湖があり、そこが多くのニジマスの生息域だった可能性は高いと思います。
今回環境DNA測定時に水位のデータもとっていましたので面白い発見ができました。